平成から令和へ移るとき
2019年4月30日深夜。
『切り花』がテーマの作品シリーズで、敢えて枯れ花を使うというアイディアを試していました。
使用したのは黄色い薔薇。
少しでも圧力を掛けてしまうとパラパラと散ってしまう瀕死の状態の薔薇。
切られた花は死にゆくいのち。
いのちの輪つなぎから外れた存在。
人に贈られる為に、死者に手向けられる為に育てられ、切られ、盛りを過ぎたら捨てられる運命。
ふとそんな事を想うとせつなくなる。
いのちってなんだろう。
いのち尽きた花に自分を手向け、寄り添ってみたい。
そんな想いに突き動かされ、
実験的に撮影しました。
結果…枯れた薔薇は予想よりずっと綺麗で
枯れた悲壮感よりむしろ
花の女王としての優雅さや威厳は失われず
上品なアンティーク調の仕上がりになりました。
Flower art: Risa(Luna Soleil)
Makeup: Kanna
Photographer: Hidekazu Tominaga
予想と真逆の結果に仕上がったので実験としては失敗ですが、薔薇の花の持つ凛とした威厳は散りゆく寸前まで損なわれず残るのだと知りました。花の女王として丹念に育てられ、大切に束ねられ、飾られた記憶を残しているかのよう。ますます薔薇の花へのリスペクトは高まり、この作品もとても気に入っています。
わたしが表現したかったものはもっと壮絶な雰囲気で、イメージは『九相図』。九相図(くそうず、九想図)とは、屋外にうち捨てられた死体が朽ちていく経過を九段階にわけて描いた仏教絵画の事で、遊女が死んで土に還るまでを描いた絵が有名です。
死というのは身近な筈だけど、どこか人ごとみたいに遠くて、生けとし生けるもの全てが逃れられない容赦なきもの。
与えられたいのちを、丁寧に生きて
その果てに見える景色は何だろう。
充実した時を生き抜いたなら
死は安らぎに感じられるだろうか。
切り花のいのちを通して、自分の人生の果てを想像しているのかもしれません。
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